« 駆り立てられ、草津宿へ | トップページ | 秋日和に恵まれ日野宿案内 »

時代を越えて伝える「日野宿本陣のザクロ」

Image211
秋の一日、朝は寒かったのに日中、長袖では暑く、寒暖の差が激しい。
本陣の中庭に真っ赤で大きな実の果実が顔を覗かせるようになった。
普段、廊下伝いにに見える、この幹を指さし、「果たしてこの果実な~んだ」と謎をかけるが、若い人たちの殆どは首を傾げる。
年配者は「ざくろ」と造作もなく答えが返ってくる。
普段、果物として店頭に揃え飾られることも少ないし、街中でもざくろの樹を見ることも少ない。果実豊潤な時期の代表選手の柿などと比べると希少な存在でもある。

Image12サイズは野球のボール程度の大きさで、直径が6~10cmくらいで、重さは100~300g程度である。
果実の中には赤いツブツブがたくさん詰まっていて、この部分を食べる。柿・リンゴのようにがばっと、かじられる物とは違って、種に覆われた層の仮種皮(かしゅひ)のつぶつぶを口に含み、種は吹き出し捨て、僅かな部分を食べる。
さわやかな甘味と酸味があり独特の食感があるが、食べるのにもどかしさが付いて廻るので、直に食べるのは地味な存在で果物の王様になれない理由かも知れない。
中の種はそのまま食べても大丈夫だが、種が気になるようならはき出すか、あらかじめ搾ってジュースにする場合もある。
国産ざくろの流通は殆どなく、店頭で売られている物の多くはカリフォルニア産で、ジュースにはイラン産も使われている。

<ざくろの歴史>
旧約聖書や古代の医学書などにも登場しているザクロは、5000年以上前から栽培されていた。昔から健康や美容によいとされており、好んで食べられていたようで、原産地であるイランからシルクロードを通って中国やヨーロッパに伝わり、日本へは平安時代に渡来したと言われている。

<期待される効能>
最近の健康志向で直ぐに効能を追ってしまうが、ザクロには抗酸化作用のある「デルフィニジン」「シアニジン」などの「アントシアニン」や、「エラグ酸」などのタンニン類が含まれているため、生活習慣病予防に効果があると言われている。
また血流効果から高血圧予防、動脈硬化予防、脳梗塞予防、心筋梗塞予防などにも効能が期待されている。

<ザクロ伝説>
ザクロが沢山の種子を実らせる、性質のため、昔の人は、ザクロを豊かさの象徴とした。日本で有名なのは、鬼子母神(きしもじん)の仏教との接点がある。
鬼子母神は、豊かさを象徴する女神であり、子沢山で、子宝の神なのである。ザクロは、豊かさの女神に捧げられる果物であった。
種子を覆う仮種皮は、まるで宝石のように美しく輝き、昔の人が、「女神に捧げるもの」と神聖視したのが、判る気がする。
<味のある幹>
ザクロには「ねじり幹」と呼ばれる幹がねじれる性質があり 自然にも、ねじれるが、人工的に行ったりもするので、どう形を造っていくか、盆栽家の腕の振るいどころとして、好まれるようである。

<時代を越えて語り伝える>

Image311
老木になると褐色の幹にはコブの様な突起が出来、長い年月の風格が備わってくる。
彦根藩井伊家の出先として彦根藩世田谷領に都内唯一の代官屋敷は、大場代官屋敷とも言われるが立派なザクロの樹があり、幹の部分から老木であった。
此処、佐藤彦五郎邸も根の部分が二股に別れ写真のようなコブの突起が見られ、明らかに老木であることが判る。
年老いた爺ちゃんも婆ちゃんが、如何にも皺(しわ)が一杯で、長い年月、労苦を積み重ね、老成化した姿を見るようである。

この老木も時期になると鮮やかに真っ赤な花が咲き、それが熟成され、大きなザクロに成長する。
果たしてこの老木は如何程の樹齢なのであろうか?勝手な妄想が生まれる。

慶応元年、歳三は京都土産を持参しての文久3年以来の実家帰りである。佐久間象山の書を佐藤家への土産し、二日間泊まり、4月15日ザクロ樹に見送られ日野を去る。成熟したザクロの真っ赤な色は倒幕に揺れる激動の渦に巻き込まれていく新選組姿を表しているようである。

彦五郎とおのぶさんとの間には4男、2女の子宝に恵まれたのも、このザクロからの奇縁から、少なくともご縁があったのであろうか?
その子供たちも、明治、大正、昭和と存命されている方もおられ、貴重な果物としてザクロを食されておられるであろう。
この老木のザクロが時代を越えて、色々語り伝えてくれる。

|

« 駆り立てられ、草津宿へ | トップページ | 秋日和に恵まれ日野宿案内 »

04、佐藤彦五郎・日野宿本陣」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 時代を越えて伝える「日野宿本陣のザクロ」:

« 駆り立てられ、草津宿へ | トップページ | 秋日和に恵まれ日野宿案内 »